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第78回(185号)

早口は損をしていますよ! 〜自身の対応を聞いてみる〜

株式会社ロングアイランド 接遇講師 伊藤 純子

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ASSISTANT ASSISTANT

早口は損していますよ!
~自身の応対を聞いてみる~

株式会社ロングアイランド 接遇マナー講師伊藤 純子

皆さんはご自分がどんな話し方をしているか、知っていますか?
先日、あるクリニックの電話応対研修で、ロールプレイング(患者さん役とスタッフ役になって行う実習)を行いました。その際にご自身の応対をスマートフォンで録音し、その場で聴いていただきました。
スタッフの皆さんは初めて自分の応対を聞いてみたことで「自分の声が思ったより低い、淡々として抑揚がない、こんな早口だとは思わなかった」などの気づきがありました。
「他の人から指摘されたことはあったけれども、自分で聴いてみて初めて気づきました」。「早口だと、患者さんは内容に追いつくことに精一杯で、声のトーンが明るくても、丁寧さや抑揚も感じられなかったです。ということは伝えたい情報や気持ちが伝えきれていなかったのだということに気づきました」との感想をいただきました。
講師が何回もアドバイスするより絶大な効果があったのです。
その後、スタッフの方たちは練習を重ねることで、話し方改善にむけて努力をしています。
ある程度同じ内容であれば、毎日、何回も話すことにより、誰でもスムーズに話せるようになってきます。受付のスタッフであれば、電話での応対の流れはある程度決まっているので、名乗りから電話を切るまでの流れは、しっかりと頭に入り、口から流れるように話せるようになります。
また、歯科衛生士や歯科助手の方も治療やメインテナンスなどでの説明内容は日々の業務である程度決まった言葉が定着し、スムーズに話せるようになってくると思います。
患者さんが混み合い、忙しくなった時でも、ご自分のペースで話し方を速くする、動作を速くすることで、仕事をこなすことができるかもしれません。
しかし、これが行き過ぎるとどうなると思いますか?
しっかりと内容は理解されているでしょうか?
どの患者さんにとっても適切な言葉、スピードになっているでしょうか?
もしかしたら、気持ちの伝わらない事務的で一方的な話し方、バタバタとした丁寧さに欠ける応対になってしまうかもしれないのです。
ある受付スタッフのリーダーは、とても忙しい中、患者さんとの対応、電話応対、歯科衛生士やドクターとの連携を取るなど、とてもテキパキと仕事をこなしている優秀な方です。
ただいつも忙しいせいなのか、とにかく早口なのです。こちらの話し方のスピードはお構いなしに、一気に話すので、こちらの聞きたいことも聞きそびれてしまう程でした。
早口の人は、頭の回転が速い方が多いと聞いたことがあります。次に話そうとする言葉が次々と頭に浮かび、同時に口が回るので、早く次のことを話そうとして早口になるのかもしれません。相手がその話について理解しようとしているうちに、また次の言葉が出てくるので、結果、一方的な話し方になる傾向があります。

説明の場面でも同様です。毎回同じ説明をしていると、口が慣れてきて滑らかに言葉が出てくるようになります。滑らかに話せることは良いことなのですが、相手の理解を待つことなく話し続けていくことで、どんどん自分のペースになり、相手の理解がついていけないスピードになってしまいます。
さらに早口で話すことの問題は、自分自身の感情表現が追いつかなくなり、結果、淡々とした事務的な話し方になってしまうということです。
先ほどの受付スタッフはリーダーとして一生懸命仕事をしており、責任感のある方ですが、残念なことに、クリニックの口コミで「事務的で、笑顔一つ見せない」との辛辣なコメントを受けて傷ついていました。
しかし今回、自身の応対を聞いたことで、口コミを見ないようにするのではなく、「心から早口を直したい、気持ちの伝わる応対をしたい」と自身の応対の改善に前向きに取り組むようになりました。
また、今回一緒にこの実習を受けた院長もご自身の話し方が早口であること、発音が不明瞭であることにご自身で気づき、話すスピードやはっきりとした話し方を意識されるようになりました。
人から言われても一番気づいていないのはご自身なのかもしれません。社会人になると仕事の内容について注意を受けることはあっても、話し方のスピードや感情表現について指摘される機会はなかなかないと思います。
院長やリーダーともなればなおさら誰からも注意をされることはないでしょう。
勉強会を開くときなどにご自身の話し方を録音して聴き直してみる、お互いにアドバイスしてみるという方法を取り入れてみてはいかがでしょう。話し方を改善するには、ご自身での気づきが一番の近道です。
ただし、基本のマナー、知識、正しい言葉遣いや声の出し方、より良い応対の仕方については専門の指導を受けた方が成果は早く得られるでしょう。それらの知識を持ったうえで、このようなトレーニング方法を行ってみることをお勧めします。
“第三者として自身の応対を聞いてみる”とても手軽で、効果的な方法です。ぜひ試してみてください!

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